イメージとは恐ろしい物です。
モンティエルとの世紀の一戦で衝撃のKO負け以降2階級制覇を成し遂げますが初防衛戦でジョニゴンに敗れ、3階級制覇を狙って挑んだキコ・マルチネスにもTKOで敗れてしまいました。
スピードあふれる動きで相手のパンチをもらわず、抜群のタイミングで放つパンチで相手を倒してきた長谷川ですが衝撃的な敗戦を重ねるうちにもう長谷川は終わってしまったというイメージがついてしまいました。
年齢を重ねるにつれ、相手のパンチをまともに受けてしまう事が多くなり、世界戦で敗れた3試合はいずれも重いパンチをもらいフラフラになって連打を浴びてしまうパターンでした。
今回再起することを聞いた時に脳裏をよぎったのは、大丈夫なのか・・・という思いでした。
しかも対戦相手が若き強打者で全勝のオラシオ・ガルシア。
誰もが驚くマッチメイク。
打たれ弱さが見える長谷川。
スピードに衰えがみられる現状、よりによってハードパンチャーを相手にするとは。
正直無事に終わってくれ・・・と願いました。
しかも練習中に足首を負傷。
正に絶体絶命な状況だったはずです。
いや、正直私は、これで試合が延期になる。
延期になればおそらく試はがキャンセルになり、長谷川もダメージを大きくせずに引退する事が出来るだろうって思ってました。
ところが、試合は行われることになりました。
こうなったらもう応援するしかありません。
ただ中継チャンネルは契約しておらず、結果発表を待っているだけという辛い状況でした。
そこに飛び込んできた長谷川勝利の報告。
もうこれは奇跡的な出来事として捉えました。
そして迎えた今日、やっとユーチューブで試合を見ることが出来ました。
最初はぎこちなく見えましたが、4Rあたりからリズムに乗ってきて左がおもしろいようにガルシアを捉え、逆にガルシアの強烈な右は空を切るばかりです。
それにしてもガルシアの右は恐ろしい。
唸りを上げて襲ってくる感じです。
しかし今回長谷川は被弾しません。
しかも長谷川はラウンドを重ねるたびに差を広げにかかります。
ガルシアも豪快なパンチをくりひろげますが長谷川のフットワークが優ります。
ガルシア渾身の一撃も間一髪で避けていきます。
クリンチも上手く使っていましたね。
終始長谷川の距離で戦えました。
9Rにガルシアのパンチをもらいかけて少し危ない感じになりましたが、10Rは逆に攻めて攻めて会場を沸かせました。
判定は文句のつけようもなく長谷川の勝利。
若きメキシカンに初黒星をつけさせたのです。
全盛期の動きから比べると物足りなさは残りましたが、試合後足の具合が相当悪かったことがわかり、その事が当然影響を及ぼしていたでしょう。
何が長谷川をここまで動かせたのか。
思うにキコ・マルチネス戦の自分にどうしても納得出来なかったのでしょうね。
勝っても負けても最後にもう一度、長谷川自身が納得いく試合をしたかった。
それには戦いやすい相手ではなく、モンティエル、ジョニゴン、マルチネスのようなハードパンチャーを相手にしなければいけなかったのでしょう。
その戦いに長谷川は見事勝利したのです。
さあ、これからどうするのでしょう。
足が完全でなかったということで、完璧なコンディションでやりたいと思う可能性はありますね。
終わりよければすべてよしということで引退に向かうかもしれません。
年齢的には34歳。
確かにピークの年齢ではありませんが、世界を見渡せばもっと上の年齢でもバリバリの現役はたくさんいます。
内山だって35歳です。
要は長谷川の気持ち次第という事になるでしょう。
昨日の試合だけで強い時のイメージを回復するのは難しいかもしれませんが、今回の試合では中盤から観客のイメージが変わってきてそれが後押しになり長谷川を突き動かして言ったという事もあるでしょう。
現役を続行する場合は、長谷川選手自身も強い気持ちを持ってオーラを出していかないといけません。
ファンがそれを感じ取ることが出来れば長谷川に対するイメージも強い時のそれに戻るでしょう。
選手、ファン一体になって強い時のイメージを持つことはとても大切です。
果して長谷川選手の出す結論は。
長谷川穂積 39戦34勝(15KO)5敗
オラシオ・ガルシオ 30戦29勝(21KO)1敗