影無茶のスポーツ24/7

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フィギュアスケート世界選手権を終えて 紀平梨花の成長が最大のトピックだが、来季以降北京五輪までの道のりを考える

女子シングル

フィギュアスケート世界選手権が終わりました。

女子シングルはザギトワが苦難の末に世界チャンピオンの称号を、男子はネイサン・チェンが完璧な演技で羽生以下を寄せ付けませんでした。

国別対抗が残っていますが、世界選手権を目標にしてきたランキング上位の選手が国別で余力が残っているはずもなく、私は前からこの大会には疑問を持っています。

ISUの主催ではありますが、人気があり入場料収入も見込まれる日本での開催なのと、テレビ局の強烈なプッシュがあるのでしょう・・・おそらく。

選手達は(特に日本選手は)不平不満を言わず一生懸命に演技してしまいますが、本来オフに入って一刻も早く身体を休ませるべき時なんですから、協会もテレビ局も、選手ファーストで考えて欲しいです。

いきなり脱線してしまいました。

今季のフィギュアスケートのシーンの中で最も衝撃的だったのは何と言っても、紀平梨花のシニアデビュー以降の急成長でしょう。

残念ながら世界選手権では4位に終わりましたが、夢を見させてくれました。

今年はエレメンツを完璧に演じられれば、世界チャンピオンの称号は向うから転がり込んできただけに、正直残念でなりません。

ザギトワの強い気持ちが土壇場で紀平を上回りました。

メドベージェワの気迫あふれる演技といい、さすがにフィギュア大国ロシアの強さを見せつけられました。

ザギもメドベもロシアティーンズ3人娘の追い上げでその座を脅かされていましたので、最後に意地を見せたことでティーンズ達への強烈なメッセージにもなりました。

来季はティーンズは揃ってシニアデビュー(ですよね)。

3人娘の内誰が残って誰が脱落していくのか、ここ最近ロシア勢のピーク期間が短い訳ですが、これがどのように現れるのかも北京に向けては大きなポイントです。

ご存知のようにフィギュアの得点は技術点と演技構成点の合計。

今シーズン紀平はシーズン当初に比べて演技構成点の爆上げに成功しました。

紀平はジャッジから世界選手権で金メダルを取れる格付けをシニアデビューの年にいきなりもらったことになります。

これが技術点の高さにプラスして大きな得点源となりました。

なので、世界選手権最終グループに入るためにチャレンジカップに参加したようですが、ひとつ前のグループでも大きな問題はなかったと思います。

格付けは金メダル候補のお墨付きをジャッジからもらっていた訳ですから。

ロシアティーンズはまだ格的に演技構成点はザギやメドベ、紀平、坂本、宮原あたりに比べて抑えられると思います。

日本勢は最終目標を北京に置くのか、北京の事は考えずその年その年を精一杯戦うのかを戦略的に考えなければなりません。

紀平、坂本は年齢的にも北京を最終目標にプランを立てていくことになるでしょう。

坂本は今季見せたダイナミックな中にも繊細さを取り入れた彼女だけのスタイルを構築しつつあります。

この路線を続けていけば紀平とは全くタイプの違う2強を形成することが出来ます。

3Aにも挑戦するとのことなので、是非来季はチャレンジして欲しいです。

紀平は4回転を取り入れるなら、来季が絶好のタイミングなのは間違いありません。

おそらく、SPで3A1本、フリーでまずクワドジャンプを跳び、その手応えによって続く3A+3Tを臨機応変に2A+3Tに変更することが出来ます。

何しろ彼女はルッツもフリップも違反をもらわずクリアに跳べて、しかも加点をもらえるジャンプができる。

スピンもステップもレベル4を常時もらえるようになりましたので、依然としてノーミスであれば紀平が優勝というプログラムが出来上がる可能性があります。

私自身は女子で4回転が主流になるとはまだ思っていませんので、オリンピックシーズンになれば結局3Aが跳べて、他のエレメンツも取りこぼしをしない選手が最も北京の金メダルに近づくと想像しています。

トゥルシンバエワがクワドを成功させ世界フィギュア銀メダルを獲得しましたが、それでもフリーだけで見ると4位。

結局は他のジャンプの正確性によりトータルで2位になれた訳で、4回転が2位に大きく貢献したかと問われれば、決してそれだけではない・・・ということだと思います。

宮原は大きな武器こそありませんが、依然トップグループの一角を形成するでしょう。

ミス・パーフェクトに磨きをかけて、来季はより表現力向上を目指し、氷上のアーティストを目指してほしいです。

何しろ現時点でも世界ランキング2位ですからね。

日本勢では他に、樋口、三原、山下、本田、白岩、本郷

いずれにしても北京まで中2シーズンあるので、来シーズンは思い切ってテスト。

ある程度の成績は残さないといけませんが、あくまで本番に向けての試験的なシーズンでもあります。

20~21年シーズンは大切なオリンピック前年になりますので、枠の問題も含めて、ある程度先頭に立っておく必要があり、世界選手権で勝つことのアドバンテージは北京に向けて大きいと思います。

そして迎える21~22シーズン、オリンピックシーズンですね。

ここはもう世界チャンピオンとして北京を戦うようにする。

あとはピーキング。

最高の状態でオリンピックを迎えるようにして欲しいです。

男子シングル

男子はネイサン・チェンが頭ひとつリードしたのは間違いありません。

今の男子はチェン、羽生結弦宇野昌磨、この3人が抜けていて、世界選手権も3人が表彰台を独占すると信じていました。

ここにヴィンセント・ジョウが割って入った訳ですが、ここにボーヤン・ジンまで加えた5人と最高の演技をSP、フリー揃えた時のジェイソン・ブラウン。

ここまでしかイメージできません。

おそらく20~21年シーズンにほとんどの人が知らない(知る人ぞ知っているかも)誰かが彗星の如く現れる気がしています。

オリンピック2連覇でモチベーションが下がったと思われた羽生は、持ち前の負けん気に火がついてしまったようです。

ただし、本人も語っているように足の具合と相談しながらとなりますので、いつ時限爆弾が爆発するかわからない中での北京への挑戦です。

その中で、まず来季は絶対王者の称号を取り戻すための戦いとなります。

4Aは現実的ではないと今も思っていますが、いくつも奇跡を起こしてきた羽生ですから、何が起こるかわかりません。

宇野は今回の世界選手権の失敗の原因が足の捻挫の影響でなかった場合は、ちょっと心配です。

繰り返しますが、来季は何でもチャレンジ出来るシーズン。

何を変えてくるのか、新しい宇野昌磨を見せてくれるのか。

興味は尽きません。

世界選手権はオリンピックと並ぶ最大の大会であり名誉です。

しかしやっぱりオリンピックは特別。

パトリック・チャンは世界選手権で3連覇しましたがソチでは2位に留まりました。

ハビエル・フェルナンデスも世界選手権2連覇を達成するも平昌では3位。

ネイサン・チェンも今年で2連覇。

しかしオリンピックは別物。

チェンには平昌SP失敗のトラウマが残っているかもしれません。

シーズンオフはあっという間に過ぎてゆきます。

19~20年シーズン。

来季はどんなシーズンになるのでしょう。

8月のチャレンジャーシリーズを皮切りに早くもシーズンに突入することになります。

見たいような、怖いような。

そんな気持ちです。

ではまた。