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世界柔道選手権 阿部兄妹明暗 阿部詩はまだまだ強くなる 丸山城志郎魂の勝利で阿部一二三との代表争いをリード

東京オリンピックを翌年に控えた大切な世界選手権。

今日は男子66kg級と女子52kg級。

阿部兄妹、遅咲き丸山城志郎、志々目愛とフジのキャッチ通り誰もが金メダル候補。

オリンピック代表争いにも大きな影響を与える戦いは死闘の連続でした。

女子は志々目がケルメンディの奥襟を深く掴む独特の組手に対応できず敗れた後に対戦した阿部詩がこれに見事対応して最後延長で寝技で一本勝ち。

そのままの勢いで決勝は僅か30秒で袖釣込み腰を決めて大会2連覇。

試合のたびに強さは増しており、来年のオリンピック本番でも不動の本命でしょう。

これに対して兄の一二三は宿敵となった丸山城志郎の隅返を喰らって痛恨の敗戦。

丸山は決勝でも一本勝ちで世界チャンピオンの称号を得ました。

阿部一二三も3位決定戦で一本勝ち。

ややホームタウンディシジョン気味な判定に救われたあとでしたが、見事な一本。

オリンピック代表争いに首の皮1枚残りました。

 

それにしても今日の試合。

男子も女子もお腹一杯になるドラマチックな展開。

中でも丸山と阿部の戦いは、他競技に広げても歴史に残る日本人同士の激闘でした。

開始早々阿部の袖釣込腰で宙を舞った丸山。

ポイントは許しませんでしたが右ひざを強打。

明らかに足を引きずるしぐさで本人も対応に苦慮している表情。

その勢いのまま前半は阿部優位で試合が進みます。

しかし阿部の攻撃を凌ぐうちに中盤から丸山の動きが良くなり一進一退。

結局制限時間で決着がつかず、全日本体重別に続いて延長突入。

最後丸山が隅返で阿部からポイントを取って死闘に決着を付けました。

フィギュアスケートの本田真凛と最初見間違った奥様の喜びが印象的でした。

丸山は右ひざに痛み止めを打っての決勝戦

棄権するのではと思う程の重症なのは明らかでしたが、金メダルを取るのと取らないのでは天と地の差があることを誰よりも知っている丸山は、痛がるそぶりを見せず決勝も鮮やかに内股と腰車で合わせ一本勝ち。

遅れてやってきたオリンピック金メダル候補が圧倒的に代表争いをリードしていた阿部一二三をついに抜き去った瞬間でした。

 

柔道のオリンピック代表選考は今回の世界選手権と11月のグランドスラム大阪の双方で優勝して、強化委員会の3分の2が賛成すればその時点で決定します。

従って11月に丸山が優勝すれば間違いなく代表に選ばれるでしょう。

大阪でも両者の対戦が実現すると思いますが、今日の勝利で丸山は阿部に3連勝。

阿部がやや本調子を欠いていた前2戦と違い、今日の阿部は動きも良く、技も切れていたので丸山の上昇ぶりは凄まじいものがあります。

阿部は背負いや袖釣込腰など相手を背負って投げる技が得意。

これに対し丸山は内股に巴投げなど足を使って相手を跳ね上げる技系が得意。

内股と巴投げ両方警戒するのは大変なことで、技のかけやすさから言って丸山に多少優位性があると思います。

もちろん内股は警戒されやすく、返し技も怖い。

しかし丸山には内股はもちろん巴投げも切れ味するどい。

阿部もこれに対応するのは大変です。

阿部は世界選手権連覇で外国人選手に強いことは証明済みですが、丸山も同様に外国人選手には負けないでしょう。

阿部選手が今の丸山選手に勝つことは非常に難しく、世間はこれで五分五分という見方が多いですが、私は丸山選手がオリンピック代表争いで大きくリードしたと思います。

心配は丸山の膝の負傷程度。

無理して戦った時間が長いので、どこまで悪化しているのかいないのか。

怪我の具合が大変心配です。

いずれにしても、両者ともに負けられない戦いが続きます。

非常に見ごたえのある今日の柔道世界選手権でした。

 

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