台風11号が温帯低気圧に変わった。
気象庁は台風に関して発表から温帯低気圧に変わるまで随時情報を流しているが、今回の11号はその数172を数えた。
台風11号は発生当時から特異な動きを示し、西進、迷走、急発達、大型化と全く型にはまらない台風だった。
幸い日本では大きな被害はなかったと思われ、最後は日本海を時速80キロの猛スピードで駆け抜けて温帯低気圧に変わった。
被害に遭われた方にはお見舞い申し上げることしか出来ないのだが、台風11号の動きを振り返ると、不謹慎ではあるが何だか人生みたいだと思ってしまったのだ。
台風11号は8月28日15時、南鳥島近海で発生し、発生時の第1号情報では、すぐに
熱帯低気圧に変わると予想されていた。
それが西進する内に海水温の高い地域で8月30日に最高ランクの猛烈な勢力まで急成長。
その後1ランク勢力を下げて非常に強い台風になったが、9月3日には規模を拡大し大型で非常に強い台風となった。
その後一度勢力を弱めるが石垣島付近でほとんど停滞し、被害の拡大が心配されるに至る。
その後はゆっくりと北に進路を取り、4日に再び勢力を強めて北へ進み、翌5日に再び大型で強いにランクダウン。
このころから次第に進路を東寄りに変え、それ以上に勢力を落とさず北北東に進路を取り、対馬海峡を通過。そのままスピードを上げて日本海を東進し、大型で強いから強さの表記が消え規模だけを表す大型の台風となり9月6日21時に温帯低気圧に変わったのだ。
最初は(今は表記されないが)小型の弱い勢力だった台風が、条件が揃い猛烈な強さまで発達し、さらには付近にあった熱帯低気圧を吸収する形で規模を大型化させて沖縄近海で猛威を奮い、最後は偏西風に乗って猛スピードで駆け抜けていく。
台風の動きを人生に重ねることには批判する方もおられるだろう。
しかし、最初はどこにでも存在するようで目立たなかったのに、迷走しながらも条件を活かして成長し、最後は余韻を残してただ消え去っていく。
少し比喩が過ぎるだろうか。
もちろん現実の台風は低気圧に変わっただけで全く油断は出来ない訳で、今後東北や北海道で被害が出ないことを祈るしかない。
老兵は消え去るべきなのだ。