仕事以外全部趣味
柚月裕子原作。
柚月氏と言えば女性作家ながら男臭い硬派な小説が多い。
今回は警察の職員、杉咲花が演ずる森口泉が主役の警察内サスペンス。
女子大生ストーカー殺人が発生したが、女子大生の被害届を警察は何故か受理しなかった。
受理しなかった原因はその時期警察の慰安旅行があり、それを優先したから。
そんな内情をスクープしたのは森口泉の親友である新聞記者の津村千佳。
実は、スクープの直前、泉は津村に食事中、ついこのことをしゃべっていた。
警察は記事を見た市民から苦情の嵐を受ける。
津村は泉に記事にしないと約束していたが、それを疑った泉は津村を問い詰める。
それを否定する津村。
その後事件はとんでもない方向に広がり、所轄、県警、公安も巻き込んでいく。
一方泉は・・・。
私は若手女優で一番上手いのは杉咲花と思っている。
石原さとみ、長澤まさみ、蒼井優、綾瀬はるか等、演ずるジャンルによって会心の演技を見せる女優は多いが、杉咲はどんなジャンルでも上手いと思う。
中学生の時に見せた、味の素Cook Doを食べる時から上手かった。
余談だが、アンメットでの食事は間違いなくこのCMを意識した演出だっただろう。
この子が凄いと確信したのは「刑事ゆがみ」第1話で演じた駅の職員だった。
そんな杉咲はこの映画でも期待通り。
正直、原作は柚月作品の中では中程度の出来ではないかと思う。
しかし映画版は杉咲以下、芸達者な役者を揃え、それぞれがはまり役。
人気や知名度で呼ぶキャスティングはしていない。
映画冒頭の入り方も見事で、既読の私も、おー、そうきたか!と思った。
映像も綺麗で(広い意味)全く中だるみがなく最後まで一気に見られる。
言葉(台詞)の伏線回収が実に上手い。
脚本、映像、音楽効果、役者の演技力、どれをとっても一級品。
上映はほとんど終わりかけのようだが、いずれサブスクで見られると思うので、見なかった人は是非ご覧いただきたい。