プロボクシングWBC世界フライ級タイトルマッチ。
チャンピオン比嘉大吾がメキシコのモイセス・フェンテスを迎えて2度目の防錆戦。
なんと沖縄では、あの具志堅用高がペドロ・フローレスに敗れて以来37年ぶりとなる世界戦。
さらに過去3度の沖縄での世界戦は全て日本選手完敗という結果。
結果はご存知のように1R比嘉の強打がさく裂してデビュー以来15連続ノックアウト勝利の偉業と共に防衛を果たしました。
フェンテスも過去ミニマムとライトフライで2階級制覇を達成している選手で、今回ランキングは9位ですが油断ならない相手だったことは間違いありません。
実際、フェンテスはチャレンジャーらしく攻撃的で、比嘉は試合後のインタビューで倒れるようなパンチではなかったと語りましたが、試合開始直後に右フックをもらってしまいました。
左右のボディも強力で、最近日本選手が相手に強烈なボディを見舞うシーンを多く見ていますが、フェンテスのそれもなかなかのパンチで、あれをもらい続けるとけっこうダメージが蓄積されるものでした。
しかし比嘉は10キロの減量の影響を微塵も感じさせない動きと、左右から繰り出す多彩で早く、しかも重いパンチで相手に主導権を渡しません。
試合は1R半ばに早くもヤマ場が訪れ、比嘉の左右のパンチが面白いように相手のボディ、テンプルを捉えます。
フェンテスはそれでも接近してきますが比嘉にとっては思うつぼです。
ボディを見舞うと明らかに効いた状態となり、苦し紛れに前に出てくるフェンテスに対し、再び左右のボディーを見舞うとたまらずダウン。
強烈なボディーを打たれるとワンテンポ遅れて、ダウンしてしまうんですよね。
戦う意識を持っていても、身体が動くのを拒否してしまいます。
結局そのままレフェリーはテンカウントを数え2度目の防衛を15連続KOの日本タイ記録で飾りました。
試合後フェンテスはまだ戦えたとクレームを言っていたようですが、何を言っても何とかの遠吠えでしかありません。
ボディをはじめとする比嘉のパンチでかなりダメージを負っており、試合が続いていたとしても結果は変わらなかったでしょう。
さらにダメージが大きくなるだけだったと思います。
比嘉は左でジャブを見舞いながら右でストレート、フックなど繰り出すのが基本ですが、左でも試合を決められるパンチを持っており、スピードもあって重く、現時点ですでにA級のチャンピオンと言って差し支えないでしょう。
15連続ノックアウトも弱い相手ばかりで作った記録ではなく、中身が濃い意味のある内容です。
井上、村田、山中などに比べ注目度は低いですが、ちょっと現段階で負ける要素はないと思われもっと注目されるべき選手です。
具志堅会長は次の試合について指名試合によりモハマド・ワシームとの対戦が有力と話したようですが、最終的にどうなるかはこれからでしょう。
ちなみにワシームはパキスタンの30歳で8戦8勝(6KO)の戦績です。
早いうちに比嘉本人が望む統一戦が出来ればと願いますが、こればかりは相手があるので実現は簡単ではありません。
10キロの減量は過酷ですが、その影響を感じさせないスピードとパワーを試合で見せているので、出来ればフライ級でなんとか統一戦が出来れば良いのですが・・・。
いずれにしてもまだ22歳。
前途は洋々です。
比嘉大吾 15戦15勝(15KO)
モイセス・フェンテス 31戦25勝(14KO)5敗1分