毎週試合が行われるので全6戦はあっという間に終わる。
北京五輪が終わった後フィギュアスケート界は一気に世代交代が進んだ。
新時代のフィギュアスケートはどんな様相を描くのだろうか。
なかなか試合を観る機会が無いが先日ようやくスケートカナダの録画を見た。
まだ女子だけで男子は見ていないので今日は女子シングルを見た感想を。
日本からは渡辺、松生、坂本3選手が出場。
松生は紀平梨花のキャンセルにより急遽参加が決まったとのこと。
ロシア選手の参加資格がはく奪された状況が続いているが、個人的感想として女子は本来のフィギュアスケートらしさが戻ってきたように思う。
4回転を跳ぶのは確かに凄いことだ。
だがトータルパッケージとしての美しさより、いかに4回転を転ばずに降りてくるかが大切になるのはちょっと違う気がする。
フィギュアスケートはスノーボードのハーフパイプではないのだ。
そういう意味で今の女子シングルは原点回帰状態にあると言える。
坂本選手は本当に貫禄が出た。
普段は相変わらずキャッキャッして面白い女性だが、リンクに立つと世界チャンピオンの顔になる。
世界選手権2連覇で佇まいに女王の貫禄がついてきたのだ。
スケートカナダの演技はそりゃもう見事の一言。
スピード、ジャンプの見栄え、正確さ、観衆へのアピール、音楽、振付、どれをとっても文句のつけようがない。
回転不足もエッジエラーもない。
スピンでひとつレベルを落としたが、これだけ仕上げて最後まで持つのかと逆に心配するほどの素晴らしい出来だった。
渡辺選手は昨年樋口新葉の出場キャンセルで急遽出場となったスケートカナダで優勝。その勢いでGPファイナルだけでなく、世界選手権まで出場と正に千載一遇のチャンスを物にした。
武器は何と言ってもトリプルアクセル。
男子が4回転当たり前の時代になったのに対し、女子は3Aを安定して跳べる選手はまだまだいない。
ロシア勢が4回転に重きを置いたことで3Aはやや目立たなくなっているが、跳べれば大きな武器になるのは今も変わらない。
スケートカナダでの渡辺選手だがアクセルは2Aに留めており(おそらく意識して)シーズン後半に向けて調整をしている印象を受けた。
全日本をひとつのピークに持って行き世界選手権代表を目指す作戦だろう。
但しフリーの音楽は変更した方が良いと思うが・・・。
これは韓国のキム・チェヨン選手にも言えると思う。
重すぎるのだ。
最後に松生理乃選手。
昨年の渡辺選手同様当初出場予定選手のキャンセルにより出場となった。
シニアデビューして3シーズン目だが過去の成績は目立つものではない。
しかし、スケートカナダでの演技は魅了させられた。
しなやかで優雅に演じきった。
ルッツとフリップでアンダーやクウォーターの判定を結構貰ってしまっているが、全体の演技としてはとても良かった。
フリーは2シーズン目の楽曲だが宮本賢二氏氏の振りを物にしたようだ。
堂々表彰台に乗ることが出来たのは立派だった。
今回の試合を見て、日本勢のみならず世界を見渡しても坂本選手が頭ひとつ抜けている状況が確認できた。
もちろんシーズンは長いが女子シングルは少なくとも今期は坂本1強が続くだろう。
そう確信したスケートカナダ女子シングルだった。