いやはや、驚いた。
2R井上が、まともにカルデナスの左カウンターフックをくらってダウン。
左からのフックは井上のウィークポイントになってしまった。
ドネア1、ルイス・ネリ、そして今回のカルデナス。
全て井上の視界の外から飛んできたパンチをまともにくらってしまう。
今後、各選手はこの弱点を突いてくるに違いない。
次のアマダリエフは今回カルデナスと同じトレーナーとのこと。
今日の試合で多くの情報を得たことだろう。
次戦はやはり最大の危機となるかもしれない。
それにしてもカルデナスは勇敢でタフだった。
はっきり言って2R以外はカルデナスは基本防戦一方だった。
しかしそう思わせなかったのは、井上のパンチを何発も被弾しながら、前に出続け、時折放ってくる、当たればダウン間違いなしというフックがあったからだ。
さすがに井上も3R以降は修正して、同じパンチを浴びることは無かったが、一つ間違えれば・・・という緊張感が常にあった。
だが井上は試合後のインタビューで語った「僕が殴り合いが好きだと証明できた」という言葉のように、どんなシチュエーションでも攻撃の手を緩めず攻め続ける。
さすがにバンタムの時のように、ラッシュによりあっという間に相手がダウンすることは無くなったが、相手の気力、体力を徐々に削ぎ落していき最後はKOに持っていく。これがモンスター井上のモンスターたる強さだ。
ディフェンスをもっと重視すれば、リスクを少なくして勝てるだろうが、井上はそれを良しとしない。
常にファンが求める、KO勝ちを貪欲に狙いに行く。
おそらく今日の試合、評価は分かれると思う。
実際に今日の試合を見た、打倒井上を狙う選手たちからは、井上恐れるに足らずの声が大きくなるだろう。
井上と戦う選手は、どの選手も過去最高の状態に仕上げてくる。
そうでないと井上には勝てないからだが、そういった相手と試合をしなければならない井上は大変だ。
それでもここまで勝ち続けてきて、ついにデビューから30連勝。
世界戦のKO勝利23試合は伝説のヘビー級王者ジョー・ルイスの22を抜く新記録。
今、ライブで井上尚弥の試合を見続けることが出来る幸せを噛みしめて、これからも応援し続けるし、痺れるような試合を見てみたい。
世界Sバンタム級4団体統一王者 井上尚弥 30戦30勝(27KO)
挑戦者WBA同級1位 ラモン・カルデナス 28戦26勝(14KO)2敗