ついにこの日がやってきた。
即座に全てのベルトを返上し、1階級上のスーパーバンタムに転向。
当初フェザー転向が噂されたWBC・WBO2団体王者のスティーブン・フルトンが井上の挑戦を受ける決断。
転向初戦でいきなり最強の敵とのマッチメイクが実現した。
井上の負傷により5月7日に予定されていた試合が延期となり迎えた今日7月25日。
計量で見せた井上の肉体はバッキバキだった。
負傷の影響は微塵も感じさせない。
フルトンは確かに大きいが、フェザーから苦労して減量してきた印象。
逆に井上はスーパーバンタムこそ最適性階級のような身体つきだ。
横から見た幅の広さは井上の方が厚みがあるのではないか。
フェイスオフでも井上の迫力にフルトンややたじろいだ印象を持った。
そんな中世紀の一戦がゴング。
1Rの両者初のコンタクト。
リーチで8cm井上より長いフルトンだが井上にパンチが届かない。
逆に井上のジャブはフルトンに届く。
ジャブだけでない、右フックや、ワンツーなど井上のスピード優位は明らかだ。
フルトン得意のクリンチに対しても対策は十分に取られていることもわかった。
1Rで井上尚弥がフルトンに対し主導権を握ったのは間違いない。
2R、3Rと同じように井上のスピードとパワーがフルトンの計算を狂わせる。
しかしそこは最強王者フルトン。
徐々に自分のペースを戻しつつあるが、それでもラウンド全体を見ると井上優位は動かない。
しかし6R7Rあたりになるとフルトンのジャブも井上に当たり始める。
この辺で井上がKOで負けることはほぼ考えられないが、判定まで持ち込まれた場合、フルトンが井上に当てたパンチを評価するジャッジが居た場合見た目と違う結果が出ることの恐れを感じるようになってきた。
ジャッジの見方は千差万別なのだ。
特に7R前半はフルトンのパンチが当たりだし不安が募りだした中で迎えた8R。
モンスターパンチが炸裂。
フルトンの顔面にクリーンヒット。
ぐらついたフルトンに左の強烈な左フックが追いヒット!
巨木が倒れるが如くフルトンダウン。
何とか立ち上がったフルトンに井上猛ラッシュ!
過去幾度も見たシーン。
右、左と雨あられの井上のパンチがフルトンをサンドバッグ状態に。
ここでレフェリーがストップ。
転向初戦で2本のベルトを奪取。
正に異次元の強さ。
フルトンが並みのボクサーに見えてしまう圧倒的な強さを見せた井上尚弥。
試合後WBA・IBF2団体王者マーロン・タパレスがリング上に表れ、何とここで次戦統一戦を行うことに両者同意。
もちろん実際の交渉はこれからなので約束された物ではないが、限りなく年内に4団体統一戦開催の方向に舵が切られたのだ。
バンタムであれほど苦労した4団体のベルト奪取がスーパーバンタムではあっという間に実現する可能性が高くなってきた。
どこまで強くなるのか。
モンスター井上尚弥新章が幕を開けた。
WBO・WBC王者 井上尚弥 25戦25勝(23KO)
前王者 スティーブン・フルトン 22戦22勝(8KO)1敗
WBA・IBF王者 マーロン・タパレス 40戦37勝(19KO)3敗