コンフェデ杯は何を残してくれたのか。
少なくともアウェイでヨルダンに負けるまでは、コンフェデは日本代表の力を試す絶好の戦いの場と認識されていた・・・と思う。
しかしヨルダン戦で敗れ、オーストラリア戦で薄氷を踏む思いの引き分けでW杯本戦出場決定。
イラク戦もすっきりしない勝ちで日本代表の停滞ぶりが俄かに問題となってきていた。
大会前から雲行きは怪しかった。
噴出したザック更迭論。
選手たちにも気の緩みが指摘されるようになってきた。
そんな中、始まったコンフェデ杯。
ブラジルに手も足も出ずに完敗。
ザックジャパンは非難の嵐に巻き込まれる事になった。
ザックも「失望した」と珍しくネガティブな言葉を吐き、私はザックのこの言葉に失望した。
イタリア戦は打って変わってリズムの好い攻めを見せた。
カテナチオはどこの国の事だったのかと思うような出来の悪いイタリアから3点を奪う。
しかしその上をいく4点を取られ敗戦。
いくら相手が不調だったとは言え、日本代表の良い部分を見る事は出来た。
すると今度はほめ言葉のオンパレード。
記事を見ると、イタリア代表の選手や監督達がこれでもかとほめる。
おいおい、と思ってしまうほどのほめ殺し状態。
ザックが同じイタリア人という事で、イタリアの選手や監督は日本代表をほめちぎってくれたのかもしれない。
イタリア戦の善戦を価値あるものにするかしないか。
これはメキシコ戦にかかっていた。
しかし、点差以上の完敗。
結局3戦全敗で予選リーグ落ち。
今回のコンフェデで日本代表は今まで蓄積してきたファンの信頼をリセットさせてしまった。
世界を相手にどこまで戦えるか、本番を見据えての経験の場。
そういう目的を考えた場合、今のままでは世界に通用しないという現実を強烈に叩きつけられた日本代表だったのだ。
これはこれで大きな成果ではある。
自分たちの知らない世界を知る事でさらなる高みを目指す事が出来る。
頭を打った選手たちは明確な目標を持って個々のレベルアップを図っていくだろう。
そうでなきゃ嘘だ。
ここで頑張らない選手に代表のユニフォームを着る資格はない。
しかし噴出するザック解任論。
選手の入れ替えをするべきという声、声、声。
こういう光景はいつかどこかで見た事あるような・・・。
そう。
代表監督は常に更迭の危機と背中合わせだ。
しかし、第一次岡田政権以来、結局は最後まで監督を解雇せず心中してきた。
病気によるリタイヤは別にして、監督を変えたのは加茂監督以来だ。
トルシエも解任説は日常茶飯事だった。
しかしトルシエの子供達はW杯本戦で史上初めて予選リーグを勝ち抜いた。
ジーコもいろいろ言われたが本戦に向かった。
そこで迎えたオーストラリア戦で忘れもしない屈辱の敗戦。
この時は最悪の予選リーグ敗退だった。
記憶に新しい前回のW杯。
オシム監督が病魔に倒れ、岡田監督2度目の登板。
これまた大会開始前には監督交代説を唱える声が大合唱となった。
しかし結果は、皆さんご存知の通りベスト16だった。
迎えた今回。
ザックは今までの日本にないパスサッカーを唱え、日本代表はかつてない魅力的チームとなった。
どんな完成形を見せてくれるのか、楽しみで仕方がなかったが、急ブレーキがかかった。
そこで恒例の監督解任論だ。
ここに至って監督を変えるとなれば、結局現有勢力の力を発揮させる事が出来る監督でなければならない。
あと1年で改めてJリーグを見て選手を招集、チームプレイを作り直す時間はない。
従って結局、岡田、西野、ネルシーニョ、大木の4氏あたりに候補を絞って現有戦力を中心にしながら少しの入れ替えで臨む事にならざるを得ないだろう。
私個人的にはザックと心中覚悟で最後まで行って欲しい。
目指すサッカー、チームワーク、戦術は問題ない。
個々の精度が上がらない事が一番の問題なのだ。
やるしかない。
ザックも選手たちも志半ばで退場しなければならないとすればやりきれないだろう。
プロなので退場もやむなしだが、ザックに夢見た私はここまで来たら最後までザックのジャパンを見たいと思っている。
変えるなら今が最初で最後のチャンスなのだが、協会はどのような判断を下すのだろうか。