いよいよ今年も本格的なフィギュアスケートシーズンが始まります。
今週末からグランプリシリーズ第1戦スケートアメリカ。
日本からは女子で樋口新葉、坂本花織、山下真湖の3名、男子が島田高志郎、友野一希の2名が出場します。
注目の紀平梨花は第2戦スケートカナダから登場。(男子羽生も登場)
昨年彗星の様にシニアデビューを果たし海外6連勝の離れ業をやってのけた紀平。
今年更なる上昇を期待する向きは多いことでしょう。
紀平にとって今シーズンは北京をはっきりと視界に捉えることが出来るかどうか、とても大切な年となります。
ただし今年に限って言えば、ロシアの牙城を崩すのは容易ではありません。
ここまでチャレンジャーシリーズ6戦とジャパンオープンの結果を見ると、オータムクラシックでは紀平が貫禄の滑りを披露してメドベージェワを抑え優勝。
幸先良いスタートを切りましたが、以外はロシア不在のUSインターナショナルとネーベルホルンを除き、4戦でトルソワ2勝、シェルバコワ、コストルナヤのシニアデビュー組黄金のトロイカが優勝、内3戦は2位もトゥクタミシェワとザギトワ。
ロシア勢が大きく先行している印象です。
もちろんチャレンジャーシリーズは順位にこだわって見る物ではありません。
今季初の公式戦で、まずはプログラムのチェックを行うことが主目的。
ジャッジの点数の出具合を探るなど全てにおいて試運転的傾向が強いです。
しかしロシアティーンズ3人娘のハイレベルなプログラムは少なくとも今年においては驚異以外の何物でもありません。
特にトルソワはシニアデビューとなったオンドレイ・ネペラ杯フリーで4回転3度成功、SPと合わせた合計得点世界最高記録をいきなり出してしまいました。
先日のジャパンオープンでも4回転4本着氷。
とんでもない選手が現れたものです。
トルソワだけではなくシェルバコワも初戦ロンバルディアでフリー冒頭4回転ルッツを成功させましたし、コストルナヤもフィンランディア杯で4回転を跳んでいないにもかかわらずトータル234.84という高得点。
紀平のトータルパーソナルレコードが233.12ですから、とにかくハイレベル。
この3人にザギトワ、メドベージェワ、トゥクタミシェワ達がいるわけですから、ロシアの壁は相当に高いと言わざるを得ません。
さらにもう一点。
ルール改正で演技構成点はエレメンツ成功が基本となったこと。
今まで私は盛んに演技構成点は選手の格付けと書いて来ました。
演技が始まる前に仕分けされている。
失敗しても格付けの高い選手の演技構成点はインフレな点が出てしまう。
しかし今年はジャンプ等、演技要素を失敗すると上限が抑えられるとの事。
とは言うものの、ロシアティーンズ(特にトルソワ)は、失敗しないのでね・・・。
なので演技構成点で技術点のマイナス分のリカバリーが難しくなりました。
まあ、これが普通の姿だと思いますけども。
そんなことで今年ロシア軍団の牙城を崩すのは容易ではないと思う訳です。
あくまで今年については・・・。
幸い、オリンピックまで、今年を入れてまだ3シーズンあります。
ザギトワにはモチベーション、3人娘には身体的成長の壁、トゥクタミシェワについては頑張っていますがさすがに良くて現状維持。
それぞれ心配な要素が立ちはだかります。
メドベージェワだけはクリケットクラブで違う面が見られそうですけども。
紀平をはじめ坂本、宮原、山下、樋口、白岩、本田、(三原しっかり治して)など日本選手たちは同じ層が厚くても選手生命の長さではロシアより優位に立っています。
上手く北京五輪にピークを合わせ、焦らず長期的な計画の元で練習に励む。
これが大切だと思います。
紀平は今年4回転にチャレンジする予定ですが、これに成功すれば今季最終目標、世界選手権で表彰台に上ることは充分可能です。
現在の紀平のパーソナルベストはSP83.97、フリー154.72。
これを同時に叩き出せば238.69。
偶然にもトルソワがデビュー戦で出した世界最高238.69と全く同じ。
トルソワは4回転3本成功した上での得点。
ちなみにこの時はSP74.91、フリー163.78で合計238.69。
紀平が4回転1本跳んで、3AをSPとフリーで3本成功させられれば。
元々他のジャンプも安定して跳べる紀平ですのでSPとフリーを揃えた上で4回転を1本成功できれば十分に戦えることがわかります。
ジャパンオープンでトルソワの4回転4本着氷を目の前で見た紀平。
内で闘志が、メラメラと燃え盛っていることと思います。
3A3本と4回転を1本全て成功させることはなかなか大変です。
しかし北京で勝つにはそれが必要です。
果たして。
ああ~、今年も始まってしまいましたね。
ではまた。