仕事以外全部趣味
先月、老舗カメラ雑誌「日本カメラ」が事実上の廃刊になることを書いた。
やや旧聞になるが購入した日本カメラについての感想を記したい。
この2021年5月号が如何に突然の休刊だったことは内容を見ればわかる。
最終号らしさが微塵も見られないのだ。
表紙はアラーキー撮影のちょっと怖い写真。
続いて巻頭口絵はアラーキー独特の特異な写真で飾られている。
私はアラーキーのポートレート系や写真日記系は大好きだが、こっちは好みでない。
最終号には相応しくない写真・・・のように思える。
しかし考えようによっては供養という言葉を思い出させる写真。
偶然であろうが、なんだか考えさせられる表紙だ。
カメラ雑誌最大の特長であるコンテストも当然のように掲載され、審査員の選評もいつものように書かれており、今後に期待するなどのコメントも見られ、何とも言えない気持ちになる。
来月の入選者の発表もされている。
掲載されることはもうない。
あの唐田えりか嬢が連載を持っていたのは知らなかった。
いわゆるフォトエッセイで、モノクロ写真と共に頁を飾っていた。
違う一面を見せようとしていたのだろうが、これも休刊で終了となってしまう。
休刊とわかるのは、社が休刊のお知らせで読者への御礼とお詫びを述べた頁のみだ。
最終号を見て何が寂しかったと言うと、雑誌の頁数が極端に少なくなっていたこと。
この差!
本屋さんで最終号を受取った時にこの厚さを知ってショックだった。
癌で終焉を迎えようとする人が瘦せ細ってしまったの見て何とも言えない気持ちになることがあるが、ちょっとそれに似た感覚を持ってしまった。
かつて毎月20日になると本屋に行き、綺麗な本を選んで購入し続けた時が懐かしい。
私も今は一眼レフなど高級なカメラは持たず、スマホで撮影するだけ。
それで十分に事足りるし、SNS全盛の世になってその方が機動性も生かされる。
それを考えると写真雑誌の衰退も必然なのだろう。
本棚に過去に購入した日本カメラの横に最終号を並べてしばらく眺めていた。
12年の空白を経て最終号を並べられたことで、個人的には区切りをつけられた。
今後、その並びを見るたびに感傷に浸るのだろうか。
ひとつの時代が終わった。