それは神様のいたずらか。
5度目のワールドカップで黄金のトロフィーを手に入れたメッシ。
しかしサッカーの神様は最後までメッシに試練を与え続けた。
もしかしたらいまだに神と奉られるマラドーナの嫉妬がそうさせたのだろうか。
それでもアルゼンチンは、メッシはそれを乗り越えて頂上に登り詰めたのだ。
それにしてもこの決勝戦。
両チームのスーパースターメッシとマラドーナの為の試合だったと言えないだろうか。
お世辞にもフランスの出来は良いとは言えなかった。
いや、前半のフランス、いやいや、後半35分にエムバペがPKで1点返すまでは、ひどい出来だった。
アルゼンチンの守備は完璧で、フランスはボールをつなげられず、シュートまで持っていくことは困難な状況だった。
戦前報道されたフランス選手の数人が体調を崩しているとの噂は本当なのかと思う程。
このままアルゼンチン逃げ切り濃厚と思われたが、それは突然の出来事だった。
PKを決めたエムボパが僅か1分後にボレーシュートを決めてあっという間に同点。
圧倒的に劣勢だったフランスをこの若者はたった1分で蘇らせたのだ。
これを境に凡戦だった決勝戦は歴史に残る決勝戦へと変貌を遂げる。
延長後半、ゴール前に詰めたメッシによる得点で3対2と再びリードした時、誰もがアルゼンチンの勝利を確信した。
ところが後半13分、フランス選手のシュートがペナルティエリア内でハンドの反則を取られPKに。
これをエムバペが決めて再び同点。
この試合これでエムバペはハットトリックを達成。
得点王を確実とした。
試合はこのまま終了、運命のPK戦に突入した訳だ。
トップのキッカーはエムボパとメッシ。
共にしっかりと決める。
フランス二人目は自信無さげな表情。
プレッシャーに押しつぶされそうになっているのは明らかだ。
これに対しアルゼンチンゴールキーパー、マルティネスは絶対に止めてやるというオーラが全身から出ていた。
案の定、PKをセーブ。
フランス3人目も同様に雰囲気にのまれている。
こんどは枠を外す。
アルゼンチン4人目が冷静に決めてアルゼンチンが36年ぶり3度目の優勝を決めた瞬間だった。
喜び爆発のメッシとアルゼンチン選手達。
両国スーパースターの競演は永遠に語り継がれるだろう。
番狂わせも散見された今大会だったが、最後は結局落ち着くところに落着いた。
メッシのための大会だったと言って過言ではない。
と同時にスーパースターの新旧引継ぎも確実に行われた。
いろいろと懸念された中東での初開催のワールドカップ。
終わって見れば記憶に残る大会になったと言えるだろう。
4年後、参加国は48に増える。
そこにはどんな風景が繰り広げられるのだろう。