8月6日に始まった夏の甲子園は慶応の107年ぶり優勝で幕を閉じた。
あれだけ強かった仙台育英だが慶応の勢いに飲まれた格好となった。
ニュースでも話題になっていたが慶応の応援は凄まじかった。
テレビを通じてもその凄さは異常なほどだった。
さすが慶応ブランド。
決勝に進んだということでOB、OGなどが大挙してここぞとばかりにブランドを見せに甲子園に集結したんだろう。
須江監督は相手の応援に呑まれた訳ではないと語ったが、異常な雰囲気の中、慶応の先頭打者丸田が大会史上初の決勝戦先頭打者ホームランで、慶応への流れはもうどうすることも出来なくなってしまった印象だ。
しかし慶応が強かったのも事実で5試合中4試合で先制。
投手も2年生エースと上級生の力のある投手複数で予選から本大会まで戦ってきた。
今までのどちらかというと泥臭い野球と違い今風の洗練された戦いぶりも新鮮だった。
考えてみれば県大会決勝で最終回の横浜守備の判定がもし2塁アウトだったとしたら、今大会の結果も違ったものになっていたかもしれないと思うと、なんだか不思議な気がする。
仙台育英も連覇は阻まれたが、よくここまで強豪相手に勝ち進んだ。
須江監督ならまたいいチームを作ってくるだろう。
今大会を総括すると、まずはベスト16に比較的万遍なく各地域から勝ち残ったことからもわかるように地域の実力差が小さくなった印象を受ける。
その中で前回書いたが関東ブロックはここ最近で最もレベルが高く、慶応以外でも組合せ次第では他の高校が決勝に進んでいた可能性も十分考えられた。
大会を通じて言えるのは確かに熱戦は多かったが、ジリジリするような手に汗握る接戦はほとんどなかったように思う。
平成以降打撃上位の高校が上位進出することが多く、試合自体は派手で見た目面白いが大味な試合が目立つ。
今大会もベスト16以降の15試合を見ると1点差ゲームは仙台育英と履正社の1試合だけで、2点差も準決勝の慶応と土浦日大の1試合のみ。
3点差4点差5点差6点差がそれぞれ3試合ずつで7点差が1試合。
1回戦2回戦あたりならまだしもベスト16以降でこれだけ点差の開く試合が多いのは最近の傾向を表していると言えるだろう。
酷暑対策や選手保護の目的で様々な試みがなされた。
日程の余裕、10回からのタイブレーク、クーリングタイムの新設。
それでも最近の暑さは異常であり、49校出場による1回戦から登場する学校と不戦勝組での優勝するまでの試合差1試合。
以前は試合を多く消化しなければならない1回戦から出場校が優勝する方が圧倒的に多かったが、これで3大会連続で1回戦不戦勝組から優勝校が出ている。
この流れは酷暑による疲労度の違いと言えなくはないだろうか。
といっても全校同一条件にするには64校出場しなければならず、各県参加校数から見て一気に15校増やすのは現実的ではない。
時代に即して変わらないといけないところは変えていかないといけない。
過去の流れに捉われず、改革が必要な時期に来ていることは否定できないだろう。
今大会を見て甲子園も転換期に来ている。
そう思った。