新チーム20連勝無敗で秋春連覇を成し遂げた。
完投能力のある投手を複数揃え、打線も全員がコンパクトに振りぬきスイングスピードも尋常じゃないほど速い。
打席の構えも全員がいかにも豪打打ちますって雰囲気なので、相手投手への威圧感は半端ないだろう。
夏も絶対的な優勝候補なのは誰が見ても明らかだ。
決勝戦の相手だった近江は山田投手の起用法が問題になった。
2001年夏の甲子園で決勝に進んだ時の近江は3人の投手をバランスよく起用しており、その時も多賀監督が指導していたので山田投手の起用について葛藤があったと語ったのは本当だろう。
私はこの件に関しては肯定できない。
しかし経緯を見るとこうならざるを得なかった事情を垣間見ることが出来る。
準決勝で死球を受け、足も引きずった状態で延長11回170球完投は常軌を逸しているし、誰が見ても決勝のマウンドに立てる状態ではなかったが先発しなければならなかったのは何故だったのかを考えてみる。
山田投手は昨年夏の甲子園後右肘を故障したため登板を控えており、秋季大会でも登板していない。
山田抜きの近江は県大会準決勝で敗れ、3位決定戦で立命館守山に勝って近畿大会に進んだ。
近畿大会では1回戦社に勝ったが2回戦(ベスト8)金光大坂に敗れた。
ここまで合計7試合控え投手で戦って32失点。
1試合平均4.5失点。
強豪校が集まる近畿大会に絞れば2試合で17失点だ。
残念ながら今年の近江は山田投手への依存度が例年のチームに比べて高かった訳だ。
さらにセンバツへの参加が大会直前に京都国際の辞退により急遽決まった弊害。
多賀監督としては夏に向けて控え投手のレベルアップを図りたかったところだろうが、センバツに臨むにあたってそんな余裕は全くなかった。
山田投手の肘の具合を考えると早く星野投手などを出せれば良かったが、出すチャンスは2回戦聖光学院戦での7回以降の3イニングしかなかった。
ここでマウンドを経験しておれば、その後の展開は変わっていたかもしれない。
甲子園に出れば周囲の期待も大きい。
近江校は甲子園の常連であり、出るだけでは満足できないファンや関係者は多い。
さらに代替出場での上位進出の話題に滋賀県勢初の(センバツ)決勝進出など外野の声も日に日に大きくなっていた。
その重圧により冷静な判断が出来なくなってしまったことはあっただろう。
しかしそれでも山田投手に無理をさせて欲しくはなかったが、様々な事情が監督の判断を誤らせてしまったと想像する。
試合後監督は山田投手を投げさせたのは間違いだった的なコメントを発したが、後悔先に立たずである。
山田投手は性格も含めてプロ向きでドラフトで指名される可能性は高い。
しっかりオーバーホールして影響を最小限に留めて欲しいし、
近江校としては夏までに2番手投手の育成が急務となる。