約1カ月前、井上尚弥について書かせていただいた。
カシメロとの統一戦はキャンセルとなり、ジェイソン・モロニーと防衛戦が組まれることなりそうだとの報道があったのでそれを前提に書いた。
正式に10月31日(日本時間11月1日)ラスベガスMGMグランドで、モロニー相手に防衛戦を行うことが発表された。
モロニーはWBSS1回戦でエマニュエル・ロドリゲスに判定で敗れたが以後4連勝しており現在戦績は22戦21勝(18KO)1敗。
モロニーに勝ったロドリゲスを井上は2Rで倒しているので、三段論法で言えば井上は問題なくモロニーを倒すことになる。
そんなに簡単に事は運ばないだろうという向きもあるだろう。
上に書いたことはあくまで机上論だということも出来る。
しかし過去の井上の試合を見てきた限りにおいては、どう考えても井上が負ける姿を想像できない。
確かにモロニーも成績を見るとなかなか凄い。
精悍な風貌、鍛えられた肉体など、見た目も隙の無い選手に見える。
しかし戦績を見ると、主たる試合はWBAO(世界ボクシング協会オセアニア)の王者としてのタイトルマッチがほとんど。
対戦相手も目立つ選手と言えばロドリゲス以外では河野洋平、レオナルド・バエス、カルドス・クアドラスに挑戦したディクソン・フローレス程度だ。
井上尚弥のキャリアとは雲泥の差と言って良い。
格の違いは如何ともしがたいだろう。
唯一気がかりだったドネア戦後の疲労と目の回復。
これも時間が経過したことで、ほぼ万全のコンディションで戦えるだろう。
更に井上はモロニーについてこう語っている。
「タフでありスタミナもあり技術も高い」
「総合的にはカシメロより上で、対策をしっかりしないと危ない相手」
大橋会長も
「怖さはないが隙の無いボクシングでカシメロよりやりづらい」
普通なら過剰なくらいに相手をなめたコメントが出ても不思議ではない。
ところがモロニーに敬意を表し、全く油断していない。
素人考えかもしれないが、変則的で1発のあるカシメロの方がやりにくいと考えるのが普通だと思ったが、モロニーの方が崩しにくいとまで言ってるのだ。
何が怖いと言って油断が一番怖い。
だが陣営には油断の欠片もない。
モロニーには失礼だが、獅子は兎を捕えるにも全力を尽くすって事だ。
井上のコメントを聞いて、カシメロをリングに這わすところを見たかったとの思いが益々強くなった。
しかしそれは将来のお楽しみにして、まずは目の前の敵モロニーとの闘いを堪能しようと思う。
モンスター井上をやっと見られる喜びにしばらくは浸りたい。
WBAスーパー・IBFバンタム級王者 井上尚弥19戦19勝(16KO)