日本は敵地でオーストラリアに2対0で勝利し、本選出場を決めた。
なのに、この静けさはなんだ。
もちろんコロナ禍という事情もあるだろう。
だがそれだけでは説明がつかないほど盛り上がりに欠けた。
テレビに映る渋谷のスクランブル交差点も、ほとんど平常の状態に見えた。
意図があってそういう部分を映さなくしているのではと疑念を持ったほどだ。
いずれにしてもかつての興奮、歓喜の様子は全く見られなかった。
ジョホールバルの歓喜やトルシエジャパンの時を思い出して欲しい。
テレビは連日代表チームを取り上げ、ナンバーは毎号サッカーの特集をやっていた。
世の中サッカー一色だったと言って過言ではない。
代表の試合は毎回高視聴率で過去のスポーツ視聴率の上位を次々書き換えていった。
前回のロシア大会予選の際にも(何とロシアだったのだ!)一時の盛り上がりは無かったがそれでも渋谷の街はサポーターであふれ返り、道頓堀では何人かどぶのような川に飛び込んだ。
ところがあれから4年。
街は静かな物だった。
ワールドカップ出場は単なる通過点と思うようになったのか?
いや違う。
予選3試合消化時点で2敗の状況下、本選出場への道は険しかった。
そこから5連勝で予選突破はドラマとして最高の盛り上がりを見せてもおかしくない。
しかし、街のインタビューを聞くとオーストラリア戦が当日行われることを知らなかった人も少なくなかった。
試合時間も観戦には都合の良い日本時間で夕方から。
勝てば本選出場決定。
負ければ得失点差で3位に後退。
正に絶対に負けられない戦いがそこにはあったのだ。
なのにほとんど日常と変わらない世の中。
確かにコロナの影響は小さくはないだろう。
だがもっと大きな要因がある。
こういった状況を作った最大の原因は地上波での放送がなかったことだ。
もちろん過去の熱狂も大勢の俄かファンによるものだったことは否めない。
しかし俄かファン結構ではないか。
それを作り出したのはメディアだが、代表チームの認知度が格段に上がったのも事実。
そういった状況があってこそ裾野の広がりにもつながると私は思う。
もちろんDAZNに加入する方法を選択する人も多いだろう。
見たければ加入すれば良いという声も最もだ。
これまで様々なサッカー中継を行ってきたDAZN。
DAZNを責めるのは筋違いだし、そのつもりもない。
しかしサブスク利用者が増大しているといっても全体からすると、まだまだだ。
もし今回オーストラリア戦で本線出場が決定していなければ、次戦ベトナム戦は大いに盛上ったことだろう。
もちろん早くに決定することに越したことは無いのだが。
今回の異様ともいえる盛り上がりのなさを見るにつけ、まだまだ地上波の影響は大きいと思った。
会費を払って様々なスポーツが見られるメリットはわかっていても、時間的な都合や家族の視聴習慣を考えて入会を躊躇する人も多いだろう。
私もほんとは入会したいが、それでなくても私がスポーツばかり見るのを妻は煙たがる。
もちろん一人で別のモニターで見れば良いのだが、妻の機嫌は悪くなる。
老いてから世話にならないといけないのでそれは避けたい(^^;)。
おっと、話があらぬ方向に行ってしまうので元に戻す。
今後ますますサブスクは便利なものになっていくと思うが、果たしてそれが、今回で言えばサッカーになるが人気の継続に繋がるのかどうか。
サッカーに限らず本当にそのスポーツが好きで応援する人より、お祭り気分で応援する人が多いのも事実。
地上波で放送すれば良い訳だが、事はそんな簡単なことではなさそうだ。
とりあえず、ベトナム戦を地上波でかつてないほど気楽な立場で見ることにしたい。
次回からは出場国が大幅に増えることになるはずなので、こんなにヒヤヒヤして予選を見ることはもうないだろう。
そういう手に汗握る予選の戦いの最後だったと思われるオーストラリア戦をライブで見られなかったのはつくづく残念ではあった。