今年のスポーツ界をジャンル別に振返り私的思いを書かせていただく4回目。
今回はフィギュアスケート。
コロナ禍の影響をもっとも受けた競技のひとつだ。
ほとんどの主要大会が中止。
GPシリーズもナショナル大会の様相で、ファイナルは正式に中止が決定。
4大陸も中止、欧州選手権も中止、世界ジュニアも中止。
コロナ感染の勢いは悪化の一途で世界選手権もどうなるかわからない。
そんな中、全日本が開催されている。
今日、つい先ほど男子フリーが行われた。
今シーズン初の大会出場となる羽生結弦。
新プログラム「天と地と」を披露した。
これが圧巻。
もう完全な羽生ワールド。
この音楽、石坂浩二が上杉謙信を演じた大河ドラマ「天と地と」の主題歌なのだ。
実は曲がかかるまでそのことを知らなかった。
考えたら「天と地と」なのだからあの「天と地と」で何ら不思議ではない。
曲がかかってすぐにわかった。
この曲を選曲するセンスに驚いた。
何しろ51年前のドラマなのだ。
この曲に乗って演技する羽生が素晴らしかった。
月並な言葉だが感動した。
役者が違う。
個人的には「晴明」より好きなプログラムだ。
過去の羽生のフリーのプログラムでは一番好きかもしれない。
北京五輪もこのプログラムで決まりだ。
羽生が演技を始めて最初のクワドループを決めた瞬間に会場の空気が変わった。
いや、会場だけではない。
羽生の発する波動がテレビを見ている人に伝わり、皆が共振したのだ。
演技に魅入った4分間だった。
今シーズン結果的に休めたことで、足の状態が非常に良いと感じた。
ここ数シーズンでもっとも身体に不安がないんだろう。
それが初戦からほぼ完ぺきに動けた要因だ。
今年を振り返ると書きながら今日の羽生のことしか書いていないが、ロシア3人娘の動向もトゥクタミシェワの復活もネイサン・チェンも高橋大輔のアイスダンス転向も、紀平梨花の4回転挑戦も、三原舞依の復活(これは嬉しい)も、メドベージェワがエテリコーチの元に戻ったことも、ルール変更のごたごたも全てを忘れさせる今日の羽生の演技だった。
今年のフィギュアスケートを振り返る時、今日の羽生が真っ先に浮かぶことだろう。
これならネイサン・チェンに勝てる。
そう思わせた全日本での羽生の新プログラム「天と地と」だった。