影無茶のスポーツ24/7

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GPシリーズNHK杯 宇野昌磨選手ジャンプの回転不足判定に一石を投じる

GPシリーズ終戦のNHK杯が終わりファイナル出場者が決まった。

男女ともに日本選手が3名ずつ入り、現在の勢力図がはっきり出た結果となった。

今回記させていただくのはNHK杯終了後の宇野昌磨選手のジャンプ回転不足への抗議(といって差し支えないだろう)についてだ。

優勝した鍵山選手への功績が削がれないように配慮したコメントだったが内容は結構シビアなものだった。

その内容だがフリーについて「自分が考えてやってきた練習を試合という場で体現できた」と語ったが、判定は4本のクワドジャンプ全てに「q」(4分の1回転不足)がついた。

qマークがつくと基礎点はそのまま加算されるが出来栄えの加点がつかない。

宇野選手はこの判定に納得していないのは明らかで「今からジャンプを改善することは難しい。競技から退くということも全然あるなと思う試合だった」と言及した。

この発言は重い。

優勝した鍵山選手と2位宇野選手との差は僅か1.84点。

フリーでqがついた4本の内2本がクリアだったら出来栄え店が付いて結果は変わっていた可能性が高い。

これがGPシリーズだから必要以上に大きな問題にはなっていないが、もし五輪の舞台なら世界中を巻き込む大論争になっていただろう。

実際ジャンプの回転不足判定の問題は今に始まったことではない。

元々人間の目により判定される回転不足。

4分の1の不足なんて本当に正確にジャッジ出来るのか疑問だ。

審判(テクニカルコントローラー)によって判定の甘辛がある。

回転不足には今回問題提起されたq(4分の1回転不足)を最小に、「<」で表記のアンダーローテーション、「<<」で表すダウングレードと段階的に回転不足の判定が成される。

日本選手の関連で思いさされるのが2014年の全日本選手権

女子で回転不足判定が連発し、基準が一気に厳しくなったと思われた試合だ。

当時投稿した記事を下記に掲げる(当時スポーツナビに投稿)

 

kagemucya.hatenablog.com

 

個人的な意見だがこの時の判定により村上佳菜子さんはその後の成長が妨げられたと思っている。

この時男子の小塚選手が問題提起の発言をし、その勇気ある発言に称賛された。

上記記事内のリンク記事は既に読めなくなっているので小塚氏の発言を要約すると。

〇女子で回転不足が急に増え、選手が萎縮して本来の力が出せていない。

〇ジャッジによって全然判定が違うので詳細に基準を決めて欲しい。

〇誰かが言わないと変わらない。僕が(小塚氏)最年長だし僕しか言えない。

上記のようなことを、選手として言うべきではないが、知識を持ち合わせた一個人としての意見として(協会サイドが)聞いてくれるだけでも十分と小塚氏は語ったのだ。

しかし残念なことに現在もこの問題の解決には至っていないことがわかる。

解決方法はある。

回転についての判定は機械に任せたら良いのだ。

それくらいのことは現代の技術進歩により全然難しい話ではないはずだ。

人間の眼で正確に回転がどうだったかなど出来るはずがない。

いくらフィギュアスケート界に長く居たとしてもだ。

機械判定導入で選手たちが余計な心配をせずにプログラムを磨き上げていって欲しい。

今回の宇野選手の発言を知って改めてそう感じた。

 

 

フィギュアスケート スケートカナダ女子シングル 坂本花織女王の貫禄 輝いた松生理乃 渡辺倫果はスロースタート 

フィギュアスケートGPシリーズが始まっている。

毎週試合が行われるので全6戦はあっという間に終わる。

北京五輪が終わった後フィギュアスケート界は一気に世代交代が進んだ。

新時代のフィギュアスケートはどんな様相を描くのだろうか。

なかなか試合を観る機会が無いが先日ようやくスケートカナダの録画を見た。

まだ女子だけで男子は見ていないので今日は女子シングルを見た感想を。

日本からは渡辺、松生、坂本3選手が出場。

松生は紀平梨花のキャンセルにより急遽参加が決まったとのこと。

ロシア選手の参加資格がはく奪された状況が続いているが、個人的感想として女子は本来のフィギュアスケートらしさが戻ってきたように思う。

4回転を跳ぶのは確かに凄いことだ。

だがトータルパッケージとしての美しさより、いかに4回転を転ばずに降りてくるかが大切になるのはちょっと違う気がする。

フィギュアスケートスノーボードハーフパイプではないのだ。

そういう意味で今の女子シングルは原点回帰状態にあると言える。

坂本選手は本当に貫禄が出た。

普段は相変わらずキャッキャッして面白い女性だが、リンクに立つと世界チャンピオンの顔になる。

世界選手権2連覇で佇まいに女王の貫禄がついてきたのだ。

スケートカナダの演技はそりゃもう見事の一言。

スピード、ジャンプの見栄え、正確さ、観衆へのアピール、音楽、振付、どれをとっても文句のつけようがない。

回転不足もエッジエラーもない。

スピンでひとつレベルを落としたが、これだけ仕上げて最後まで持つのかと逆に心配するほどの素晴らしい出来だった。

渡辺選手は昨年樋口新葉の出場キャンセルで急遽出場となったスケートカナダで優勝。その勢いでGPファイナルだけでなく、世界選手権まで出場と正に千載一遇のチャンスを物にした。

武器は何と言ってもトリプルアクセル

男子が4回転当たり前の時代になったのに対し、女子は3Aを安定して跳べる選手はまだまだいない。

ロシア勢が4回転に重きを置いたことで3Aはやや目立たなくなっているが、跳べれば大きな武器になるのは今も変わらない。

スケートカナダでの渡辺選手だがアクセルは2Aに留めており(おそらく意識して)シーズン後半に向けて調整をしている印象を受けた。

全日本をひとつのピークに持って行き世界選手権代表を目指す作戦だろう。

但しフリーの音楽は変更した方が良いと思うが・・・。

これは韓国のキム・チェヨン選手にも言えると思う。

重すぎるのだ。

最後に松生理乃選手。

昨年の渡辺選手同様当初出場予定選手のキャンセルにより出場となった。

シニアデビューして3シーズン目だが過去の成績は目立つものではない。

しかし、スケートカナダでの演技は魅了させられた。

しなやかで優雅に演じきった。

ルッツとフリップでアンダーやクウォーターの判定を結構貰ってしまっているが、全体の演技としてはとても良かった。

フリーは2シーズン目の楽曲だが宮本賢二氏氏の振りを物にしたようだ。

堂々表彰台に乗ることが出来たのは立派だった。

今回の試合を見て、日本勢のみならず世界を見渡しても坂本選手が頭ひとつ抜けている状況が確認できた。

もちろんシーズンは長いが女子シングルは少なくとも今期は坂本1強が続くだろう。

そう確信したスケートカナダ女子シングルだった。

 

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フィギュアスケート 紀平梨花の復活を願わずにはいられない

今年もフィギュアスケートシーズンが始まった。

現在ISU承認のチャレンジャーシリーズが行われている。

10月にはいよいよGPシリーズも始まる。

今季もロシアがウクライナ侵略に対する制裁として国際大会への参加が認められていない。

現在女子シングルは坂本花織、男子シングルも宇野昌磨が世界選手権2連覇中だ。

さらに前回大会ではペアでりくりゅうこと三浦璃来・木原龍一ペアが優勝。

アイスダンス以外日本勢が全て優勝の快挙を成し遂げた。

ひと昔、いや、ごく最近まで日本ペアが金メダルを取るなんて想像もしていなかった。

残念なのはアイスダンス高橋氏の引退により村元・高橋組の演技が見られないことだ。

そんな素晴らしい出来事が起きた前年を経て始まった今シーズン。

どうしても忘れられない選手がいる。

その名は紀平梨花

つい先日今シーズンを治療に専念するとし、全休することを明らかにした。

ジュニア時代から注目を浴びていたが、シニア初参加のGPシリーズで連勝。

しかし常に精神的に弱いなどネガティブ評価も付きまとった。

ところがその勢いは止まらずファイナルでもザギトワ、トゥクタミシェワ相手に優勝。

すい星のように紀平はシニアのリンクに現れたのだった。

当時の演技構成は紀平がノーミスで滑れば、他の選手は誰も紀平に及ばない。

それほどレベルの高い内容だった。

しかし最大目標の世界選手権ではSPの失敗が響き4位。

私はシニアデビューのこの年(2018~2019シーズン)、試合過多だったことが原因だと思っている。

具体的には4大陸参戦後(優勝)オランダで行われたチャレンジカップへの参戦。

これが不必要だった。

これにより世界選手権はシーズン8戦目となった。

世界選手権の時にはすでにピークを過ぎていたのだ。

それでも北京五輪に向けて期待は膨らむばかりだった。

ところがコロナパンデミックと右足を襲った疲労骨折が紀平選手の運命を大きく変えてしまった。

オリンピックシーズンの主要大会のみならず全日本も欠場となり北京五輪への道が絶たれてしまった。

その疲労骨折の影響が今も彼女の復帰の障害となっているのだ。

今シーズンエントリーしていたGPシリーズスケートカナダの出場を辞退。

3年後(シーズン的には2シーズン後)のミラノ五輪に向けて右足の完治を目指し今シーズンを全休することを発表した訳だ。

紀平選手は3Aの成功率が高く、ルッツもフリップもエッジ違反をもらわない。

しなやかで柔らかい滑走、リカバリー能力、どれをとっても一級品。

なにしろ平昌五輪金メダルのザギトワと紀平のプログラム比較において紀平の方が難易度が高かった。

これは羽生結弦選手がソチ五輪シーズンのGPファイナルで当時世界選手権3連覇のパトリック・チャン氏より高度なプログラムで優勝し、チャン氏に大きなショックを与えたのと同じ状況。

紀平選手は今シーズン全休により4シーズン表舞台から姿を消すことになった。

ミラノ五輪を目指すには来シーズンの復帰は絶対条件だ。

復帰しても茨の道が待っている。

それでも才能がほとばしったシニアデビューのシーズンを見たスケートファンなら復活を信じたいだろう。

フィギュアスケート選手にとって足の怪我からの復活は苦行と言ってもよい。

しかしそれでも来シーズン、リンクを華麗に滑走する紀平選手を見たいとの思いは募るばかりなのだ。

 

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フィギュアスケートシーズン始まる 坂本花織、鍵山優真海外初戦を優勝で飾る GPシリーズエントリーも少し

先日フィギュアスケートの坂本花織選手がオータムクラシックで今季海外初戦で優勝したとの記事を見た。

そうか、9月と言えばもうISU承認のチャレンジャーシリーズが始まっているのだ。

なんだかんだでシーズンオフが短いフィギュアスケート

体調管理が大変だ。

次回ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪は2026年。

冬季シーズンで言えば2025~2026シーズン。

今年が2023~2024シーズンなので今年含めてオリンピックまでは3シーズン。

なので今年はオリンピックを目指す選手にとっては(まあほとんどがそうだが)いろいろなことにチャレンジ出来るシーズンだ。

それは曲の選択、振付、演技構成だけでなくピークの持っていき方もそうだ。

坂本選手の試合の映像を見たがとても良い状態でシーズンイン出来ている。

フリーの後半でミスもあったが、全然気にしなくて良いだろう。

広がりのある壮大な曲調で、今まで元気娘の印象が強い坂本選手だが、女性として円熟した演技にシフトしてきた印象だ。

それでいてスピードも申し分ないし、ジャンプも切れ味抜群だった。

最大目標は世界選手権3連覇になるが可能性は高いように思う。

男子では昨シーズンを足首の怪我のため欠場した鍵山優真選手が海外初戦のロンバルディア杯で優勝。

見事に復帰戦を飾っている。

ジャッジペーパーを見るとSPもフリーも冒頭の4回転サルコウを完璧に跳んでいるようで高い加点をもらっている。

現時点では4回転はこのサルコウしか跳べていないが、足の状態と相談しながら今シーズンは無理をしないように戦っていくと思われる。

復帰戦を優勝で飾れたことは大きな前進だ。

10月から始まるGPシリーズに坂本選手は第2戦スケートカナダと5戦エスポーグランプリ(フィンランド)に、鍵山選手は第3戦フランスグランプリに6戦NHK杯にエントリーしている。

ちなみに今季GPシリーズエントリーシートを以下に貼りつけさせていただく

女子

https://www.isu.org/docman-documents-links/isu-files/event-documents/figure-skating-4/2023-24/grand-prix-4/entries-8/31416-women-3/file

男子

https://www.isu.org/docman-documents-links/isu-files/event-documents/figure-skating-4/2023-24/grand-prix-4/entries-8/31415-men-4/file

 

男女ともに新旧入り混じった選手構成。

実績ある選手が今年も貫禄を見せるのか、新星が現れるのか、また史上初めてクワドアクセルを跳んだイリア・マリニンはどんな成長ぶりを見せてくれるのか。

そんな中、紀平梨花選手の復活は成るのか。

この拙ブログでは今季も出来るだけフィギュアスケートを追いかけていくつもりだ。

 

 

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フィギュアスケート 高橋大輔のNHK杯を中心としたドキュメントの再放送を見て改めて唯一無二の魅力を再認識

先日深夜にNHKで放送された高橋大輔氏のドキュメンタリーを見た。

2006年を皮切りに5度のNHK杯優勝。

日本人初のオリンピック表彰台。

同じく初の世界選手権優勝。

引退時の投稿でも記したが高橋氏のフィギュアスケートは膝の痛みとの戦いの歴史でもあった。

改めてドキュメンタリーで高橋氏の演技を見て、唯一無二の存在であると思った。

世界中探しても彼ほど表現力に優れた選手はいない。

それは今も変わらない。

ステップシークエンスは誰をも魅了し、音楽に対する表現力は今見ても鳥肌ものだ。

羽生氏とは全く個性の異なるスケーターであり、この二人以外に多くの選手が揃っていた当時の日本男子フィギュアスケートの層の厚さは壮観だ。

4回転は不得手だったが、それを補って余りある表現力で観衆を魅了し続けた。

2年のブランクを経てアイスダンスに転向したが、惜しむらくはブランクを経ずにアイスダンスに身を投じておれば、世界トップを争うペアになっていたと思う。

このドキュメントを見てそんなことを感じずにはいられなかった。

 

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