ある意味世紀の一戦だ。
スーパーバンタム級4団体王者井上尚弥とルイス・ネリの対戦が目前に迫ってきた。
ルイス・ネリは侮れない相手なのは間違いない。
山中慎介氏との対戦における二度に渡る愚挙で評判は地に落ちたが実力は確かだ。
しかし、今回の試合が決定した当初私はネリを相当危険な相手と思っていたが、時間が経つにつれ井上選手が負ける姿を想像出来なくなってきた。
怖いのは井上が不意にネリの一発を貰い、その後連打を浴びてしまうことだが、次第にそのようなパンチを貰う可能性は極めて少ないと思えてきたからだ。
過去数多くの日本人チャンピオンが強敵と言える選手との防衛戦を迎えた時は、試合が近づくにつれ不安が増してきたものだが、井上選手の場合は逆に大丈夫と思えるようになってくる。
そこが今までの日本人チャンプと全く異なる。
井上選手が唯一無二の選手たる所以だろう。
そう思うようになったのは何と言っても過去の井上選手のファイトぶりだ。
私が過去一番難敵と思ったのはエマヌエル・ロドリゲス。
WBSS準決勝で対戦した当時のIBFバンタム級王者。
その時点でロドリゲスは19戦全勝(12KO)。
スピード豊かで手数も多く、当時は事実上の決勝戦と言われたものだ。
その難敵をあっさり撃破。
井上に倒された後ロドリゲスがセコンドに向かって、もうダメぽと情けない表情を見せたのが忘れられない。
ドネア2でも相手を圧倒するボクシングで戦慄のノックアウト勝利。
スーパーバンタム級での初戦スティーブン・フルトン戦も試合前は結構難しい試合になると考えられたが1Rから優位に立ち、最後はフルトンをなぎ倒した。
10年前の(もうあれから10年!)オマール・ナルバエス戦もそうだ。
キャリアで1度もダウンしたことが無いナルバエス相手に1Rから猛攻撃。
ド派手なKO勝利は一躍井上尚弥の名を轟かせたものだ。
ジェイミー・マクドネル戦でもそう。
試合前に悪態をつき続けたマクドネル。
しかし試合が始まってすぐにマクドネルは自らの行いが間違っていたことを知る。
常に我々の想像を上回る衝撃的な勝利を重ねてきた井上選手。
世界中の強豪からリスペクトされ、モンスターの称号が最も似合う存在になったのだ。
こういった圧倒的な勝利を重ねてきただけに、井上の勝ち方に対する世間のハードルは上がる一方だ。
前回のタパレス戦。
これも見事なKO勝利だったが10Rまでいったことと、タパレスの評価が決して高くなかったこともあってか、苦戦と形容されてしまう。
いやいや、調印式でのタパレス選手の限界までそぎ落とした身体を見たのか。
あの精悍な何者も近寄りがたい精悍な表情を見たのか。
何と言ってもアマダリエフに勝って2団体王者だったのだ。
しかも井上対策をしっかりとってきた戦いぶり。
それでもKOで勝ってしまうのだ。
ネリは確かに強豪の一人だが、モンスター井上の勝利は動かないだろう。
あと、最後に以前はネリに対して私も怒ってた。
もちろん山中氏との試合のことでだ。
今回の試合もその因縁を井上選手が晴らしてくれる、留飲を下げられる・・・と思っている人も多いだろう。
しかし、それについては試合開催発表の場でネリが山中選手に謝罪。
山中氏もこれを受入れ、二人握手した姿でカメラに納まった。
これを持って私はこの件に関しては考えないようにした。
もちろん今後計量オーバーや、ドーピングについてはより厳正な規則や処置を講じることは望むけれども、こと山中氏とネリとの因縁については私の中では終わった。
と言うことで、5月6日の決戦は純粋に試合を楽しみたいし、もちろん井上選手の勝利を願い応援するつもりだ。
ああ~、それでもドキドキする。