正直言ってこの試合が本当に実現するとは思っていなかった。
5年前のエマヌエル・ロドリゲス戦でウェイトオーバー。
ロドリゲスサイドが対戦拒否で試合不成立。
山中戦での暴挙に続くルイス・ネリのあるまじき行為。
これで井上との対戦は完全に消滅したと思っていた。
しかし紆余曲折あって試合が決まる。
そして迎えた決戦の日。
4万大観衆、超満員の東京ドーム。
山中氏の心中は如何なるものだっただろう。
両国国歌演奏。
お馴染みとなったジミー・レノン・ジュニア氏の選手紹介と続きいよいよ試合開始だ。
試合は1Rまさかの左フック被弾で井上がプロ初のダウン。
狐につままれたような井上の表情。
幸いダメージはなさそうだが、当然ネリ猛ラッシュ。
完全なネリペースに・・・なるのが普通だがそうはさせなかった。
結果、井上のハートに火をつけただけだったことにネリは程なく気づくことになる。
2R、激しい攻防の後、緊張感あふれる駆け引きが繰り広げられる。
隙を見て打って出るネリに今度は井上のカウンター左フックが炸裂しネリダウン。
試合を楽しんでいるかのような井上尚弥。
ネリの恐い恐い左フックが飛んでくるが、いつの間にか井上はそのパンチを見切っている。
ラウンドを重ねるごとに、井上のパンチスピードが際立ってくる。
ネリとの差は明確だ。
4R、勝つために玉砕に近い形でネリが出てくる。
しかし、これは井上の思うつぼだ。
5Rになると井上の右ストレート、左フック、ボディ、右ストレートボディ、など多彩なパンチがネリを襲い、最後左フックでダウン。
このラウンドは井上無理に仕留めに行かなかったが、6R倒しにかかる。
防戦一方のネリ。
最後はロープに追い詰めて強烈な右一閃。
なぎ倒されたネリにレフェリーは試合をストップ。
えげつないノックアウトだった。
誰が見ても井上尚弥の圧勝。
1Rのダウンが井上の持てるポテンシャルを更に引き出させたような印象。
完璧に仕上げてきたネリに対しここまで一方的に勝利する井上は正にモンスター。
山中慎介氏との2試合で生まれた因縁。
あれから6年。
この日、モンスター井上尚弥が明確にルイス・ネリに引導を渡したのだ。
次戦はWBO・IBF1位サム・グッドマンとなるようだ。
スーパーバンタム級4団体統一王者 井上尚弥 27戦27勝(24KO)
WBCスーパーバンタム級1位 ルイス・ネリ 37戦35勝(27KO)2敗
WBO・IBFスーパーバンタム級1位 サム・グッドマン 18戦18勝(8KO)