影無茶のスポーツ24/7

ルール知らなくても面白く読んでいただけることを目指します

モンスター井上尚弥 ルイス・ネリに引導を渡す劇的KO勝利

正直言ってこの試合が本当に実現するとは思っていなかった。

5年前のエマヌエル・ロドリゲス戦でウェイトオーバー。

ロドリゲスサイドが対戦拒否で試合不成立。

山中戦での暴挙に続くルイス・ネリのあるまじき行為。

これで井上との対戦は完全に消滅したと思っていた。

しかし紆余曲折あって試合が決まる。

そして迎えた決戦の日。

4万大観衆、超満員の東京ドーム。

解説席には長谷川穂積氏と山中慎介氏の両レジェンド。

山中氏の心中は如何なるものだっただろう。

 

両国国歌演奏。

お馴染みとなったジミー・レノン・ジュニア氏の選手紹介と続きいよいよ試合開始だ。

試合は1Rまさかの左フック被弾で井上がプロ初のダウン。

狐につままれたような井上の表情。

幸いダメージはなさそうだが、当然ネリ猛ラッシュ。

完全なネリペースに・・・なるのが普通だがそうはさせなかった。

結果、井上のハートに火をつけただけだったことにネリは程なく気づくことになる。

2R、激しい攻防の後、緊張感あふれる駆け引きが繰り広げられる。

隙を見て打って出るネリに今度は井上のカウンター左フックが炸裂しネリダウン。

試合を楽しんでいるかのような井上尚弥

ネリの恐い恐い左フックが飛んでくるが、いつの間にか井上はそのパンチを見切っている。

ラウンドを重ねるごとに、井上のパンチスピードが際立ってくる。

ネリとの差は明確だ。

4R、勝つために玉砕に近い形でネリが出てくる。

しかし、これは井上の思うつぼだ。

5Rになると井上の右ストレート、左フック、ボディ、右ストレートボディ、など多彩なパンチがネリを襲い、最後左フックでダウン。

このラウンドは井上無理に仕留めに行かなかったが、6R倒しにかかる。

防戦一方のネリ。

最後はロープに追い詰めて強烈な右一閃。

なぎ倒されたネリにレフェリーは試合をストップ。

えげつないノックアウトだった。

誰が見ても井上尚弥の圧勝。

1Rのダウンが井上の持てるポテンシャルを更に引き出させたような印象。

完璧に仕上げてきたネリに対しここまで一方的に勝利する井上は正にモンスター。

山中慎介氏との2試合で生まれた因縁。

あれから6年。

この日、モンスター井上尚弥が明確にルイス・ネリに引導を渡したのだ。

次戦はWBO・IBF1位サム・グッドマンとなるようだ。

 

スーパーバンタム級4団体統一王者 井上尚弥 27戦27勝(24KO)

WBCスーパーバンタム級1位   ルイス・ネリ 37戦35勝(27KO)2敗

WBO・IBFスーパーバンタム級1位 サム・グッドマン 18戦18勝(8KO)

 

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大相撲夏場所プレビュー 新旧交代の流れは加速するのか、それとも停滞か

風薫る5月。

本来夏場所は気候的に最も好ましい条件下での開催となる場所だ。

しかし昨今の温暖化等の影響により、4月から夏日続出。

明らかに環境が変わってきた。

地球環境はこの先どうなっていくのだろう。

そんな中行われる夏場所、私が注目する点をいつものように掲げる。

・尊富士の状態

照ノ富士の状態

琴ノ若改め琴櫻は綱への足掛かりをつかめるか

・新小結大の里と再小結朝乃山

・霧島は再び上昇気流に乗れるか

この5点。

先場所は尊富士が史上初の新入幕優勝。

14日目に負傷し、出場さえ無理と思われた千秋楽に出場して優勝を成し遂げたことで大きな盛り上がりを見せた。

しかしその代償は大きく、場所前の稽古もまともに出来ない状態。

出場は難しいのではないか。

無理して出場し、さらに患部を悪くすることは絶対に避けないといけない。

となると期待は新小結大の里ということになるが、場所前に降ってわいたいじめ問題が影を落とす。

土俵上で悪評を払拭する相撲を見せて欲しい。

こうなると、やはり今場所最も注目する力士は大関琴ノ若改め琴櫻となる。

春場所はやや不本意な10勝5敗。

二桁勝ったが尊富士、貴景勝、霧島に敗れ本人も当然納得していないはずだ。

今場所は綱取りへの足掛かりとなる13勝以上は上げて欲しいし、その力があるのは誰もが認めるところだ。

そこで心配は横綱照ノ富士の状態だ。

白鵬引退後長く一人横綱を務めているが、先場所の状態を見るとさすがに限界近しを思わずにはいられない。

場所前の状態はあまり良くないようで、出場は五分五分ではないか。

10回優勝をひとつの達成点として意識しているに違いないが、その判断に注目だ。

最後に復活目指す2力士。

ひとりは再小結朝乃山。

1年の謹慎期間はあまりにも長すぎた。

それでも三役迄戻ってきたのは力のある証拠。

しかし朝乃山も30歳。

ラストチャンスと思って頑張って欲しい。

もう一人は霧島。

春場所まさかの5勝10敗。

大関になって6場所。

全くらしさがなかった先場所だったが、千秋楽の琴ノ若戦はとても内容が良かった。

あの相撲を取れるなら今場所期待出来る。

奇しくも朝乃山、霧島は私が以前から綱候補として取り上げてきた力士。

まだまだ見限る訳にはいかない。

新旧交代の流れが加速するのか、それともベテラン勢がその勢いを止めるのか。

注目の夏場所は5月12日、いよいよ1週間後に初日を迎える。

 

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ボクシング モンスター井上尚弥VSルイス・ネリ 過去の井上の試合を振り返りながら感じることを

ある意味世紀の一戦だ。

スーパーバンタム級4団体王者井上尚弥とルイス・ネリの対戦が目前に迫ってきた。

ルイス・ネリは侮れない相手なのは間違いない。

山中慎介氏との対戦における二度に渡る愚挙で評判は地に落ちたが実力は確かだ。

しかし、今回の試合が決定した当初私はネリを相当危険な相手と思っていたが、時間が経つにつれ井上選手が負ける姿を想像出来なくなってきた。

怖いのは井上が不意にネリの一発を貰い、その後連打を浴びてしまうことだが、次第にそのようなパンチを貰う可能性は極めて少ないと思えてきたからだ。

過去数多くの日本人チャンピオンが強敵と言える選手との防衛戦を迎えた時は、試合が近づくにつれ不安が増してきたものだが、井上選手の場合は逆に大丈夫と思えるようになってくる。

そこが今までの日本人チャンプと全く異なる。

井上選手が唯一無二の選手たる所以だろう。

そう思うようになったのは何と言っても過去の井上選手のファイトぶりだ。

私が過去一番難敵と思ったのはエマヌエル・ロドリゲス。

WBSS準決勝で対戦した当時のIBFバンタム級王者。

その時点でロドリゲスは19戦全勝(12KO)。

スピード豊かで手数も多く、当時は事実上の決勝戦と言われたものだ。

その難敵をあっさり撃破。

井上に倒された後ロドリゲスがセコンドに向かって、もうダメぽと情けない表情を見せたのが忘れられない。

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ドネア2でも相手を圧倒するボクシングで戦慄のノックアウト勝利。

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スーパーバンタム級での初戦スティーブン・フルトン戦も試合前は結構難しい試合になると考えられたが1Rから優位に立ち、最後はフルトンをなぎ倒した。

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10年前の(もうあれから10年!)オマール・ナルバエス戦もそうだ。

キャリアで1度もダウンしたことが無いナルバエス相手に1Rから猛攻撃。

ド派手なKO勝利は一躍井上尚弥の名を轟かせたものだ。

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ジェイミー・マクドネル戦でもそう。

試合前に悪態をつき続けたマクドネル

しかし試合が始まってすぐにマクドネルは自らの行いが間違っていたことを知る。

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常に我々の想像を上回る衝撃的な勝利を重ねてきた井上選手。

世界中の強豪からリスペクトされ、モンスターの称号が最も似合う存在になったのだ。

こういった圧倒的な勝利を重ねてきただけに、井上の勝ち方に対する世間のハードルは上がる一方だ。

前回のタパレス戦。

これも見事なKO勝利だったが10Rまでいったことと、タパレスの評価が決して高くなかったこともあってか、苦戦と形容されてしまう。

いやいや、調印式でのタパレス選手の限界までそぎ落とした身体を見たのか。

あの精悍な何者も近寄りがたい精悍な表情を見たのか。

何と言ってもアマダリエフに勝って2団体王者だったのだ。

しかも井上対策をしっかりとってきた戦いぶり。

それでもKOで勝ってしまうのだ。

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ネリは確かに強豪の一人だが、モンスター井上の勝利は動かないだろう。

あと、最後に以前はネリに対して私も怒ってた。

もちろん山中氏との試合のことでだ。

今回の試合もその因縁を井上選手が晴らしてくれる、留飲を下げられる・・・と思っている人も多いだろう。

しかし、それについては試合開催発表の場でネリが山中選手に謝罪。

山中氏もこれを受入れ、二人握手した姿でカメラに納まった。

これを持って私はこの件に関しては考えないようにした。

もちろん今後計量オーバーや、ドーピングについてはより厳正な規則や処置を講じることは望むけれども、こと山中氏とネリとの因縁については私の中では終わった。

と言うことで、5月6日の決戦は純粋に試合を楽しみたいし、もちろん井上選手の勝利を願い応援するつもりだ。

ああ~、それでもドキドキする。

 

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プロボクシング 井岡一翔 無敗のフェルナンド・マルティネスと7月7日統一戦が決定 

世間は5月6日に迫ったモンスター井上尚弥の防衛戦で盛上りを見せている。

あのルイス・ネリが相手ということも拍車をかけている。

そんな中、本当なら井上と並ぶ評価を受けても不思議でない男の防衛戦が発表された。

その男は井岡一翔

田中恒成に破られるまで国内最速のデビュー7戦で世界王座獲得。

ライトフライ級転向後も国内最速で2階級制覇。

フライ級では世界最速の3階級制覇。

そしてスーパーフライで4階級制覇を成し遂げて現在に至る。

これほどの実績にかかわらず、井岡には常にダーティーなイメージがつきまとう。

それはローマン・ゴンサレスとの対戦が実現しなったことで井岡が逃げたと思われたことから始まった。

その後も突然の引退。

引退からの復帰。

ドーピング検査による薬物疑惑(後にJBCのずさんな管理による誤りと判明)。

入れ墨の問題。

先日も再び大麻疑惑。

井上のように見る者を興奮のるつぼと化すようなスタイルと違い、完璧なディフェンスからタイミングの良いパンチを繰り出す俗に言う玄人受けするボクシングスタイルの井岡は本来井上と好対照の名チャンピオンとして両雄並び立って不思議でないが残念ながらそうはなっていない。

戦歴の中には八重樫東との死闘。

4階級制覇を成し遂げたアストン・パリクテ戦。

パリクテのパワフルなパンチをディフェンス技術で交わし、逆に多彩なパンチを繰り出し最後怒涛のラッシュでリングに沈めた試合はベストバウトと言って良いだろう。

その他にも戦前不利と言われた田中恒成戦もカウンターで吹っ飛ばしTKO勝ち。

悲願とも言えるファン・フランシスコ・エストラーダ戦は実現しなかったが、今回対戦が決まったフェルナンド・マルティネスは今が最盛期と思われる強敵だ。

井岡にとって過去最大の難敵と言って良いだろう。

井岡も気づけば35歳。

年齢的にはピークを過ぎているはずだが衰えは見せていない。

それどころか昨年末のホスベル・ペレス戦では激しい打合いの末7Rノックアウト。

芸術的なディフェンス技術だけでなく打合いにも負けない強いハート。

井上尚弥は200年にひとりのボクサーだが井岡もまた100年にひとりのボクサーだ。

マルティネス戦も激しい打合いが予想され一瞬たりとも目が離せない戦いとなる。

過去不利と言われた戦いにことごとく予想を覆す結果を残してきた井岡。

この試合を乗り切れば、いよいよ悲願のエストラーダ戦が見えてくる。

 

WBA世界Sフライ級王者 井岡一翔 34戦31勝(16KO)2敗1分

IBF世界Sフライ級王者 フェルナンド・マルティネス 16戦16勝(9KO)

 

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第64代横綱曙太郎さん死す 若貴兄弟と曙関が同時期に存在した奇跡

先週の木曜日、元横綱曙関が亡くなられたことが報道された。

まだ54歳という若さだった。

しかもここ7年は闘病生活をおくっており、現役時代の活躍を知っている者からすれば今回の報を受け、残念という言葉しか見つからないというのが正直な感想だろう。

思い出されるのは闘病中に放映されたテレビの企画。

花田虎上氏(若乃花)が入院している曙氏に会いに行くという物だった。

カメラに映る曙氏は表情が無く、視線も宙に浮いた状態でベッドに横たわっていた。

そこに花田氏が現れ、曙氏に近づいて声をかけたところ、曙氏の表情が明らかに変わり、生気が戻ってにこやかに花田氏を見つめたのだ。

記憶がよみがえったのだ。

共通の話題で話しが通じ、曙氏の嬉しそうな表情を見て、医学の壁を超えた奇跡を見た気がしたのを今も覚えている。

私が曙氏を見たのはその時のテレビが最後で、結局帰らぬ人となってしまった。

曙氏の死後、多くのメディアが曙氏の死去について報道し特集を組んだ。

一般の人も曙氏死去のことを知ると一様に驚き、現役時代を懐かしんでいた。

多くの人に愛された横綱だったのだ。

 

曙氏は昭和63年春場所初土俵

若乃花貴乃花も同じ場所で初土俵

ご存知のようにこの3力士は永遠のライバルとして横綱まで上り詰めた。

同じ初土俵の3人が横綱に昇進した例は記録を探ると、明治以降では明治43年1月初土俵常ノ花西ノ海、大錦と2例のみではないか。

異例のことなのだ。

若貴と曙関はお互いに切磋琢磨し激闘を繰り広げ、空前の相撲人気に沸いた。

新入幕は貴乃花が一足早く平成2年5月、若乃花と曙が平成2年9月。

三役は曙が最も早く平成3年3月、次いで貴乃花3年7月、若乃花3年11月。

大関昇進は曙が最も早く4年7月、貴乃花が5年3月で若乃花は5年9月。

ここまで3力士はほぼ誤差なく番付を上げたが綱取りは曙が滅法早かった。

最終的に3人共横綱になったが若貴にとって曙関は綱取りへの大きな壁となった。

有名なのは曙関と若貴兄弟が13勝2敗で並び、巴戦による優勝決定戦が行われた平成5年7月場所。

曙関が二人に連勝し横綱昇進後初、通算4回目の優勝を飾った。

この時貴乃花が優勝しておれば2場所連続優勝で横綱昇進は確実だった。

しかし昇進は見送られ、結局貴乃花横綱になるにはこの後8場所を擁する。

このように当時曙関はどちらかというと敵役的な役割に回ってしまったことになる。

しかし曙と若貴の激闘は永遠に語り継がれる名勝負のオンパレードだった。

この3人が同時期に存在していたのは正に天の配剤。

残念なのはこの3人が結果として誰一人角界に残らなかった事実だ。

こればかりは如何ともしがたい・・・。

曙の引退は平成13年1月場所後。

○通算幕内戦績 566勝198敗181休 優勝11回

横綱成績   432勝122敗166休 勝率.780

若貴との対戦成績(幕内本割の戦績)

貴乃花 21勝21敗 対若乃花18勝17敗。

外国人初の横綱として大相撲の歴史に永遠に残る。

 

最後に貼り付け可能なYouTubeから激闘4番勝負を。

 


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※本文中の記録は相撲レファレンスを参照させていただきました。